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一新塾有志メンバーによる沖縄市泡瀬干潟の埋立事業の問題点(政策提言)

 沖縄市長 東門 美津子 様


2007年11月吉日
「沖縄市&泡瀬干潟視察」メンバー 有志
根田芳夫
藤井秀一
宮寺卓
森嶋伸夫

沖縄市泡瀬干潟の埋立事業の問題点(政策提言)

 
このたび、NPO法人一新塾生有志にて、調査研究活動の一環として、11月16日(金)〜18日(日)までの3日間、東京、名古屋、大阪、沖縄県内(沖縄市外)の塾生有志ら14名で、沖縄市&泡瀬干潟視察を行いました。
埋立賛成の市民団体「泡瀬復興期成会」事務局長、「プライド泡瀬」会長と2時間、埋立反対の市民団体「泡瀬干潟を守る連絡会」事務局長と2時間、じっくりお話をお伺いし、意見交換する機会をいただきました。また、「東部海浜開発事業検討会議」副座長ともじっくり意見交換する機会をいただきました。さらに、一般の地域住民の方々へのインタビューもトライしてまいりました。
また、泡瀬干潟の埋め立て現場をカヌー視察させていただきました。
私たちの立場は、しがらみのない“よそもの”の立場です。また、あくまでも中立の立場です。   
既成概念を横に置いて、地元の方々の生の声にじっくり耳を傾けさせていただき、特に、次世代の子どもたちのためにという視点で考えたことを、ぜひとも、お伝えさせていただきたいと思います。

 

検討の結果、4点の結論に至りました。
(1)ビジョンなき曖昧すぎる事業目的
(2)泡瀬干潟は「生きた世界遺産」
(3)求められる市長の指導力の発揮
(4)第一区域工事の即時停止と住民への情報公開の再徹底の上、合意形成へ
以下に各項目の詳細について、見解を述べます。

 

(1)ビジョンなき曖昧すぎる事業目的
沖縄県と沖縄市が着工を開始してから、既に5年が経過した埋立事業は、埋立地の利用方法が1980年代の当初計画から二転、三転するなど、そもそもビジョンがなく事業目的が曖昧です。
現行計画では地域振興と経済活性化を目ざし、民間企業に埋立地を売却して観光ホテル、国際交流施設、レクリエーション施設、情報教育文化の発信拠点施設を建設する予定としています。しかし、現時点までに参画を表明した事業者もなく計画自体の実現可能性は乏しいと言わざるを得ません。その総事業費489億円に対して、既に投じられた費用は180億円余りですが、この間の沖縄市への経済効果を疑問視する声も聞かれます。
また、埋立工事は沖から陸へ向かって進められ、T区(約100ha)とU区(約90ha)に分けて実施します。そのうちのU区を沖縄市が購入した上で、約3分の1の31haが「米軍用地(沖縄市との共同使用地)」として提供され、使用されます。そのため、U区用地では厳しい規制が敷かれ、広場としての活用しかできないとされています。
ところで、同じ泡瀬干潟地区では先行する形で、国と県は自由貿易港(FTZ)整備事業を進めています。今回の埋立事業では、学識者からは不向きと判断された港を掘削した際の廃棄泥土を、泡瀬干潟での埋め立て用土壌として再利用する計画としています。これでは、国と沖縄県が進めるFTZ整備に伴う「廃棄物の後始末工事」であり、単なる国の下請け工事として、県と沖縄市は埋立工事を行うものだとの地元住民の指摘は否めません。

(2)泡瀬干潟は「生きた世界遺産」
学識者が実施した海洋調査によれば、泡瀬干潟では、学術的にも貴重なクビレミドロ、トカゲハゼなどの絶滅危惧種118種に加え、世界でも泡瀬のみで発見された新種として指定を受けた3種もの貴重な生物種が確認されています。新種の3種とは、植物ホソウミヒルモ(新種認定2004年)及び動物ヒメメナガオサガニ、ユンタクシジミ(同2006年)、2007年2月28日確認された貝の新種ザンノナミダです。学識者からは、稀少生物に対する生態系の保全措置が十分ではないとの意見が沖縄総合事務局に提出されています。
これに対して、埋立を推進する自治体や議会、賛成派市民団体は、環境保全のための措置として、貴重生物種の生息地並びに繁殖地を移植する方法を講じており、生態系並びに自然環境は保護できると主張しています。
しかしながら、この方法は、環境省が示した「移植技術は未確立である」との国会答弁と矛盾しています。埋立事業の継続は、「生きた世界遺産」ともいえる泡瀬干潟における貴重生物種などの生態系への悪影響が計り知れない点が危惧されます。そしてこれは、沖縄市の現在、そして未来の子供たちの観光資源をも奪うことにもなります。??????

(3)求められる市長の指導力の発揮
上記の(1)(2)を踏まえ、埋立事業の継続によっては取り返しの付かない程、住民間での溝を深めることが懸念されます。市長は泡瀬干潟の第一区域の埋立事業を即時に停止させることが望ましい。議会が停止に応じない場合、市長は辞任して選挙により、改めて住民意思を問うべきとの意見が、沖縄市民の方からもありましたが、私たちも全くそう思います。その間は、実効力ある停止措置を講じることが緊急の課題であり、今こそ市長は率先垂範して指導力を発揮することが求められています。そして、その様な毅然たる市長の行動には沖縄市民からの強い支持があると確信いたします。

(4)第一区域工事の即時停止と住民への情報公開の再徹底の上、合意形成へ
自治体並びに議会、各関係団体は、賛成派・反対派を問わず、住民への情報公開を徹底して実施することが必要です。そのため、賛成派と反対派の市民団体は共同で、公開討論会を開催して、議会関係者を交えて、埋立事業を巡る争点を明確に問うこと。それと同時に国、県、市の3者は、FTZ整備と本埋立事業との関連性について、沖縄市が契約したとされる「約90haの用地買い上げ」による地元住民が負担することになる費用内容について、徹底した情報公開を実施することが必要です。
中でも、市有地として買い上げる約90haの土地うち、あえて「31haの米軍用地提供」を行うことに関して、一層の透明性を図ることや、地元住民からの理解を得るための最大限の努力を払うことが重要です。
特に行政に対しては、問題点を封印しないことや、住民の合意形成を促進していく施策を明確に打ち出すことが強く求められています。具体策として、住民同士の話し合いをへた上で、住民投票の実施を強く求めます。

【終わりに】
今回の埋立事業の意義について地元自治体は、全国で最も高い失業率に苦しむ沖縄県(約9%)や沖縄市(約12%)にとって、新たな用地取得は県外からの製造企業や観光ホテルを誘致する際の受け皿となり、将来の安定した新規雇用創出が期待できると主張してきました。しかし県内への企業進出の目処が立っていない点や、同市では宿泊旅行者が極めて少ないなどの実情を踏まえ、住民の間からは計画の見直しを求める声が聞かれます。
有識者からも、学術的のみならず観光資源としても非常に価値の高い泡瀬干潟の希少生物に対して、埋立工事の着工に先立ち十分な生態系の保全措置を講じると約束した自治体側がきちんと責任を果たしていないとの批判が相次いでいます。

そうした住民の声を、議会や自治体の関係者はあまねく拾い集め、住民と行政が一体となって、住民の声がしっかり反映される民主主義が実現することを切に期待いたします。
私たちが出会った約20名の一般の住民の方のインタビューで、「私たちが子どもの頃よく遊んだ干潟を子どもたちに残していきたい!」「泡瀬干潟を埋め立てても潤うのは一部で、多くの人たちには関係ない」との言葉が私たちの胸に響きました。沖縄市に住む住民の切なる声を反映すること、それこそが、地元の豊かな自然や文化が最大限に活用され、住民の個性と可能性が存分に開かれ、次世代の子どもたちが未来に希望を持てる地域ビジョンを生み出すことに繋がると確信いたします。
今後、街づくりの計画作成を検討し、計画を推進していくことが重要であると思いますが、そのためには、一層の市民参加の場作りや市民リーダーの育成・全国からの公募を提案します。

自分たちはどんな街をつくり、そこでどう生きたいのか。今こそ住民と自治体、議会の地元が一丸となって話し合いを進め、問題解決に立ち向かう努力が本当に求められているのではないでしょうか。沖縄の将来像を決め、具体化していく責任は沖縄住民にあります。それが独立自尊を旨とする住民自治の基本だからです。そして、市長の今回の英断には日本中から多くの支援、そして何より沖縄市において、絶大なる支持が集まると、我々は確信いたします。
以上甚だ僭越ではございますが、ご意見申し上げます。

 

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